センター名 |
三重大学複合的がん免疫療法研究センター (Center for Comprehensive Cancer Immunotherapy(C3I)) |
詳細 |
センター長
珠玖 洋(Hiroshi Shiku) 連絡先 珠玖 洋 三重大学大学院 医学系研究科 遺伝子・免疫細胞治療学 〒514-8507 三重県津市江戸橋2-174 探索医学研究棟3階 TEL 059-231-5187 FAX 059-231-5276 Mail shiku@clin.medic.mie-u.ac.jp オリジナルHP:作成中 センター設立の背景と目的 がん免疫療法が目覚ましい臨床的効果をもたらすことが明らかになり、更なる開発研究に大きな期待が寄せられている。生体内でのがんに対する免疫応答は、リンパ球を中心とする多様な細胞群や細胞内・細胞間分子群の膨大なネットワークから成り立っている。この複雑ながん免疫応答に対する免疫的介入法として「がんワクチン」「T細胞輸注療法」「免疫抑制解除薬(免疫チェックポイント抗体)」といった技術が開発されている。各技術を深化させるとともに、これらの適切な組み合わせを見出すことが、有効性の高いがん免疫療法の創出には不可欠である。 本センターは、がん免疫療法についてこれまでに三重大学で開発した基盤技術や独自シーズ群を更に発展させると共に、これらの最適な組み合わせにより優れた治療効果を発揮する複合的がん免疫療法の創出を目論むものである。 センターのミッション 本センターは「複合的がん免疫療法の探索」「がんワクチン」「免疫エキソソーム」「ファージ抗体」に関する基盤技術開発とシーズ育成を行う。 (1)複合的がん免疫療法探索イニチアチブ 下記の独自のがん免疫療法シーズ群や、既存のがん免疫療法(ワクチン・T細胞輸注療法・免疫チェックポイント抗体等)を適切に組み合わせることで、それらの相乗効果によりがん免疫応答が著しく増強されて、治療効果が飛躍的に高まると期待される。本センターは、がん免疫療法の様々な組み合わせを評価できるプラットフォームを構築し、センター外にも広く提供することを目指す。 (2)がんワクチン技術開発グループ ワクチン抗原として用いるロングペプチドの配列最適化技術(特許出願中)とナノゲル型ワクチンデリバリーシステム(京都大学と共同開発・特許出願中)、高性能アジュバント(免疫増強剤)を採用した独自のがんペプチドワクチンの実用化研究を進めている。 また、ワクチン抗原や免疫調節分子をプラスミドDNAとして投与する多機能型がんDNAワクチン(特許取得済)の開発も進めている。その投与に必須の専用投与デバイスとして、民間企業と共同で無針注射デバイスを開発している。 (3)免疫エキソソーム技術開発グループ 細胞が細胞外に産生する小胞「エキソソーム」は、RNAや蛋白のトランスファーを通じて他の細胞に様々な変化を及ぼす細胞外メッセンジャーとして注目を集めている。その特性から、RNA医薬などのデリバリーシステムとなる可能性も期待されている。我々は培養リンパ球から得たエキソソーム(免疫エキソソーム)に顕著な生理活性を独自に見出し、有用ながん治療薬として利用できる可能性を追究している(特許出願中)。こうした免疫エキソソーム自体をがん治療薬として、あるいはデリバリーシステムとして、がん免疫療法への応用を検討する。 (4)ファージ抗体技術開発グループ 優れたヒト由来ファージ抗体ライブラリーを用いて、抗体の取得が困難な蛋白抗原に対する高性能抗体の取得を進めている。とりわけ、細胞内蛋白に由来するT細胞エピトープペプチドとMHC分子の複合体に対する抗体の取得で大きな成果を挙げており、がんに対する新しい抗体医薬品として開発することを目指している。また、T細胞の抗原受容体として抗体(scFv)を利用するキメラ抗原受容体(CAR)へ得られた抗体を応用する試みも行っている。
|